2006年06月04日

私の合格体験記(9)

私の受験時代と今の税理士試験簿記論とでは内容的に随分と変わりました。
もっとも大きな違いは、いわゆる新会計基準にあります。
この新会計基準をはじめとする「変革」を抜きにして今の簿記論は語れません。
会社法の例をあげるまでもなく、今後も変革は続くでしょう。
続くでしょう。
続くんですね(ふーっ)。

もっとも大きかった変革部分(平成12年前後)について、もし、受験当時に接していたら間違いなく苦手意識をもったと思います。
ですのでその克服に役立つかは微妙ですが、私の受験当時に苦手だった項目の話を書き留めておこうと思います。
苦手項目をいかに克服したのか、あるいはしなかったのか。


個別項目で苦手意識があったのは、特殊商品販売と社債でした。

特殊商品販売は、割賦の戻り商品や積送品などに苦手意識があったと思います。
戻り商品についても、積送品についてもですが、知らない間に解けるようになってました(←克服法にならんやろ)。
苦手の原因は、たぶん解き方にこだわっていたためではないかと思います。
解き方にこだわるというより、解ければよいという形で問題と接していたためといった方が適切かもしれません。

解き方というアプローチのみだと処理方法の分岐がでてくると対応できなくなるときがあります。
不思議なことに処理方法の分岐があって新たな「B法」が出てくると、それまではできていた筈の「A法」すらブレてしまったりしていました。
そんなときは、手前の部分に戻ってじっくりとやってから、問題を解いたりしていると自然と解けるようになっていたと思います。
しかし、いったんできるようになると逆になぜ、今までこんなに難しかったのかとさえ思うようになりました。
今でも問題の解き方よりも地味な学習をすすめるのは、こんな経験が大きいのかもしれません。
解き方は、後からいくらでもついてくる。
ホントにそう思っています。

社債については、結局は、問題をきちんと読んでいない(状況を整理していない)ことが、苦手意識の大きな原因だったように思います。
社債発行差金も社債利息も所詮は按分なんだと思えるようになると計算そのものはじっくりと取り組めばできないということはなくなっていきました。

もっとも特殊商品販売にしろ、社債にしろ、必ずしもスイスイと解けていたという訳ではありませんが。

いわゆる構造論点には、全般的に軽めの苦手意識があったように思います。
これは問題を最初の方から複数回解くようにしていたため、まず、個別項目の基礎的な部分と典型的な総合問題が固まって、その後に構造論点の学習を進めており、どうしてもやむを得ない面はあると思います。

構造論点で最後まで苦手意識が残ったのが帳簿組織でした。
これは今、思うと明らかに取組み方を間違えていたと思います。
今では「帳簿は理論だ」とうそぶいたりもしていますが、当時は、「ムリ」と思ってしまっていたようです。
あきらめた瞬間に道は閉ざされるもの。
やはり、ムリでした(←そのままかい)。

ただ、数字の関係は追えたので、帳簿が出てきたときは、細かい点は気にしないで、平均キープをこころがけていたように思います。

当時でもっとも複雑になる可能性があったのが本社工場会計でしょうか。
これはメチャクチャ複雑になってしまった問題は、平均点も低く、最後まで残った感じでした。

苦手項目は基本的な事項までさかのぼってテキスト読んで、問題を解いてがんばってみる。
それでもダメなら平均を目指すというのが、苦手項目に対する私の全般的な対処法だったといってよいと思います。
posted by 簿記論講師 at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 私の合格体験記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月15日

私の合格体験記(10)

簿記論の受験にあたっては、とにかく問題を解いていました。
しかし、何の意識もなくただ問題を解いていたかというと、そんな訳でもありません。
漠然とした意識としては、計算式や解き方は、できるだけ覚えないで、答えを導きだせるようにする。
そんな気持ちで接していたようには思います。

覚えないことを絶対視する訳ではありません。
しかし、できるだけ覚えないように(覚えないで済むように)するためにどうすればよいのか。
そのことを意識していたようには思います。
その前提としての取引の仕組みの理解といったいわばさわりの部分に時間をかけることにはなったかもしれません。
ただ、テキスト等の記述は退屈(←失礼な)なので、問題を解いてはテキストというのを繰り返していた感じでしょうか。

日商時代から、簿記は「5区分の増減」と「按分」だと思っていました。
簿記で登場するのは、5つだけ。
資産、負債、資本、費用、収益だけです。
それが増えたり減ったり。
それをすごく意識する。
そしてそれを合理的に按分してきちんと損益や財産を計算する。
単純にいえばそんな感じです(ど、どんな)。

すべてを5区分(結局は仕訳や勘定記入)と按分に結びつけるようにしていれば、忘れにくいでしょう。
また、忘れたとしても記憶をたどるのが楽な筈です。
もちろん覚えなければならない部分はあります。
しかし、受験全般を通じての経験でもありますが、覚えなくてよい箇所は覚えない。
覚えなくてもできる手段があればその手段を模索する訳です。
これが覚えるべき箇所をきとんと覚えるための最大の工夫ではないかとも思います。

結局、忘れやすいのは勘定科目でしたが、これは典型的なものを最初に復唱していました。
ブツブツ唱える訳です。
ブツブツです。
原始的ですが。

今は、私の時代の受験時代の学習項目に割引現在価値の考え方が加わるという感じでしょう。
新基準が入ったことによって従来的な取扱いで私の受験当時よりもやってないなという項目も増えています。
受験機関の総講義時間は変ってはいませんので。
それでもやはり学習上の負担はやはり増えたと思います。
そして5区分と単純な按分に加えて、貨幣の時間的な価値(利息)を加味するという実際の生活感覚にない点がわかりにくさを増幅させているかもしれません。

学習項目は時代と共に移り変わります。
細部では、受験環境(市販の教材や受験機関のあり方)も変わったかもしれません
しかし、私の時代と比べても本当の意味での学習方法が劇的に変った訳ではないと思います。

あれから随分と時間が経ちました。
時の経過と共に受験当時の記憶は知らぬ間に風化しました。
しかし、長く暑かったあの夏の日。
容赦なく照り付けていた陽射だけは今も鮮明に記憶に残っています。

私の合格体験記(完)
posted by 簿記論講師 at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 私の合格体験記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする