2006年08月14日

平成18年度の出題(全般)

第1問にこれまで税理士試験で未出題のキャッシュ・フロー計算書が出題されていたものの第2問の量が少なく、第3問も(昨年の出題を事前に解いていれば)てがけやすかったのではないでしょうか。

(第1問)総合問題
比較貸借対照表、利益処分、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、期中・決算整理事項からそろぞれの空欄を解答する出題です。
税理士試験・簿記論でははじめてのキャッシュ・フロー計算書の出題でした。
直接法によるキャッシュ・フロー計算書の出題であり、キャッシュ・フロー計算書の出題という要素以上に勘定推定を問う出題であったといってよいでしょう。

(第2問)個別問題4題
問1 建設業会計(工事進行基準と工事完成基準)
問2 連続意見書方式による売価還元原価法および売価還元低価法

(第3問)総合問題
製造業を対象とし、月中取引、決算整理事項から損益計算書、貸借対照表、製造原価報告書を作成する問題。
月中取引、消費税、税効果があるのは、前年と同様ですが、解答形式がこのところみられなかった財務諸表になっています。
相変わらず量は少なくはありませんが、難易度はやや低めといったところかもしれません。
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2006年08月15日

平成18年の出題(第一問)

【資料等】
(1)比較貸借対照表(一部推定あり)
(2)利益処分
(3)損益計算書(一部推定あり)
(4)キャッシュ・フロー計算書(直接法、一部推定あり)
(5)期中取引及び決算整理に関する留意事項
1.現金預金
2.商品販売
3.債権債務(為替予約の振当処理あり)
4.有価証券(償却原価法あり)
5.有形固定資産(所有権移転外ファイナンス・リースあり)
6.経過勘定等


【解答要求】
比較貸借対照表(4箇所)
損益計算書(3箇所)
キャッシュ・フロー計算書(4箇所)
期中取引及び決算整理に関する留意事項(1箇所)


【特徴】
直接法によるキャッシュ・フロー計算書の作成を中心とする出題です。
キャッシュ・フロー計算書は、税理士試験では未出題であり、対策が充分でなかった方もいらっしゃるでしょう。
しかし、間接法ではなく、直接法によるキャッシュ・フロー計算書の出題です。
キャッシュ・フロー計算書が未学習であったとしても解答可能な箇所は少なくありません。
昨年の出題と比較すると決算整理事項がしっかりしており、ボリュームのある出題でした。
例年からすると解答要求との関連では、標準的な難易度・量といってよいかもしれません。
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2006年08月16日

平成18年の出題(第二問 問1)

【資料等】
(1)工事の明細
(2)決算整理事項


【解答要求】
貸借対照(3箇所)
損益計算書(4箇所)


【特徴】
建設業会計の出題でした。
工事完成基準適用物件が2つ(工事中と完成引渡済)と工事進行基準適用物件が一つという割とシンプルな出題です。
ただし、工事進行基準適用物件について損失が生じており、また、翌期以降の損失に対して、工事損失引当金を設定するというのが大きな特徴です。
損失が生ずる見込みのある物件に対して、税務上、工事進行基準は適用されないため、この適用を誤ってしまった方も少なくないのではないでしょうか。
その際の連動(前年の第1問を思い出します)については、やや釈然としない思いがあります。
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2006年08月17日

平成18年の出題(第二問 問2)

【資料等】
甲商品の受払記録(原価による受入、値入れ・値下げ、売価による払出、売価による残高)


【解答要求】
(1)売価還元平均原価法による期末商品棚卸高、売価還元低価法による期末商品棚卸単価
(2)売価還元低価法による損益計算書の棚卸減耗費、売上総利益
(3)原価時価比較低価法による売上総利益


【特徴】
連続意見書方式による売価還元法をテーマにした出題です。
また、売価還元法だけでなく、通常の低価法(原価時価比較低価法)も問う出題でした。

明確に連続意見書方式であることをうたっている点が大きな特徴でしょうか。
昨年の第1問で売価還元低価法が出題されていたため、意外との感は正直あります。
しかし、どんな項目でも昨年出題されたから今年はナシというのは、全く通用しない事が実感できる出題ではあります。

必要な資料が表形式の受払記録にまとめられていました。
この資料から必要な情報をきちんと読み取ることができたかが大きなポイントでしょう。

売価として「正常売価」や「期末実勢売価」という見慣れぬ言葉があがっています。
問題の指示どおりに解答すればよいのですが、現実的には、かなり厳しいのではないかと思います(←それアナタ)。
posted by 簿記論講師 at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去出題傾向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月18日

平成18年の出題(第三問)

【資料等】
(1)製造に関する資料
(2)平成18年3月中の取引
(3)修正及び決算整理事項
1.修正事項
2.銀行勘定の調整に関する事項
3.期末棚卸等に関する事項
4.社債発行差金に関する事項
5.投資有価証券に関する事項(外貨建有価証券、償却原価法・利息法あり)
6.貸倒引当金に関する事項
7.賞与引当金に関する事項
8.減価償却に関する事項
9.未払税金に関する事項


【解答要求】
損益計算書(12箇所)
貸借対照表(9箇所)
製造原価報告書(4箇所)


【特徴】
単一製品の製造・販売業の損益計算書、貸借対照表、製造原価報告書を作成する出題でした。
昨年度の出題がソフトウェア製造業ということで、商的工業簿記に目がいっていないときつかったかもしれません。
再三の指摘になりますが、前年(ないしは2年連続)で出題されているから出題がないということは、最近の税理士試験の簿記論ではまったくありません。

解答要求が財務諸表でしたが、これは他の論点とは異なり、製造業の場合には、むしろ財務諸表の方が解きやすい面があるのではないかと思っています。

問題構造は、3月中の取引あり、消費税、税効果ありという出題で、これは3年連続になります。
出題項目から難易度の高い項目は減っているといってよいでしょう。
振込手数料の取扱い、売掛金の残高確認、償却可能限度額とやや実務的な出題はありましたが、問題をよく読めば対応は充分可能ではないかと思います。
ただ、償却可能限度額の考え方などは、一般的な簿記書に記載される事は少ないと思います。
第二問では、逆に税務とは異なる会計上の考え方が優先した出題がなされています。
簿記論の第三問がどこへいくのか、また、どこへいくべきなのかを考えさせられます。
posted by 簿記論講師 at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去出題傾向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする